今夏ブラゴヴェシチェンスクと中国を結ぶ橋が架かりました 

国境横断橋
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ブラゴヴェシチェンスクは、大河アムールをはさんで中国に向かい合う国境の町です。

これまで2回、この町の様子や歴史、名物のコサック料理の話をしてきましたが、今回はお隣の町、中国黒龍江省黒河との市民の交流についてお伝えしたいと思います。

この写真は、黒河のリバーサイドホテルの屋上から対岸のブラゴヴェシチェンスクの町並みを撮ったものです。手前は中国側で、ブラゴヴェシチェンスクと同じように、川沿いに遊歩道が見えます。こうして両国の人たちはお互いに対岸を眺めながら暮らしているのです。

黒河のリバーサイドホテルの屋上から対岸のブラゴヴェシチェンスクの町並みを撮ったもの

ある時期まで、両岸には国境を渡る船が運航されていました。1988年に導入された相互ビザ免除協定により中ロ両国民はお互いの町を自由に往来できるようになりました。夏は船で渡り、川が氷結する冬は氷上をバスが走りました。所要時間は船でもバスでもわずか5分。両国の地元の人たちは隣町に行くような感覚で往来していたのです。

両国の地元の人たちは隣町に行くような感覚で往来していたのです。

実は、本サイト編集長も数年前、この船で中国からロシアに渡ったことがあります。中国で出国手続きをし、ロシア人と一緒に渡し船に乗りました。あっという間の国境越えでした。

渡し船に乗ると、あっという間の国境越えでした。

いまではのどかな国境ですが、ソ連邦が解体したばかりの1990年代は、中国人が行商のために対岸に渡り、ロシア人も生活雑貨の買い付けのために、双方が運び屋となって往来していました。経済的に困窮したロシアでは、この運び屋の存在は町の経済を支えていたほどだったのです。

この大きな荷物を抱えた男性の銅像は、ブラゴヴェシチェンスク市内にあるもので、当時運び屋として働いた人々に敬意を表して建てられたものだそうです。この町の来歴を物語っているのです。

当時運び屋として働いた人々に敬意を表して建てられたもの

経済復興した今日では、運び屋の姿は減り、両国民は観光目的で往来を楽しんでいます。町には中国人観光客向けのみやげ店やレストランがありますし、中国側の町にもロシア語で書かれた看板の店がたくさんあります。

黒河のロシアレストラン

ところで、先ほど渡し船の運航は「ある時期まで」と書きましたが、それは現在、コロナウイルス感染拡大のために両国民の往来は停止しているからです。でも、実はコロナ後も渡し船は運航されないことになるかもしれません。

なぜなら、今年の夏、両国を結ぶ国境横断橋となる「アムール橋」が架けられたからです。つまり、今後両国の人たちは車で橋を渡るだけで往来できるようになるのです。

アムール橋

今年7月、ブラゴヴェシチェンスクを訪ねた人が現地の様子を以下のように伝えてくれました。

「完成した国境横断橋を訪ねました。架橋地点は郊外のカニ・クルガン村で、橋自体は巨大なハバロフスク大橋やウラジオストクの優美な斜張橋と比べると、はるかに小さくて拍子抜けします。

ロシア側は出入国管理施設の建設が進みつつあり、その気になれば数か月で開通しそうですが、結局はコロナの状況次第とのことでした。中国側では橋のたもとに早くも展望台を建設しており、彼らは国境を見物するのがよほど好きなのだろうと思います。黒河市街から展望台まで道路を整備して、川沿いのサイクリングコースにするそうです。

中国側では早くも展望台を建設

現在、コロナで対岸との渡し船の行き来は中止されており、フェリーによる貨物輸送だけ行われている状況です。

当然ながら、ブラゴヴェシチェンスク市内では中国人の姿はほとんど見かけませんでした。それでも、中国側は国内旅行が再開されているのか、アムール川(中国名:黒龍江)を航行する遊覧船がにぎわっていました。国境横断橋まで行って戻ってくるルートです。この日は32℃の猛暑だったので、船上は涼しそうでした。

アムール川を航行する遊覧船

ロシア人はそんなことは思いもつかず、唯一同様の国境遊覧船がロシア側でも運航していますが、それもいまはコロナで休止されたままでした。

遊覧船からの眺め

それでも、夜9時頃河岸に行ったら、ロシア側は夕涼みの地元民でにぎわっていました。それに引き替え、対岸にはほとんど人気がなく、国境をさはんで両国民の嗜好や国民性の違いも感じられるのは興味深いです。

両市の港の近くでは、川を渡る越境ロープウェーの建設が年内に本格化する予定です。あと数年も経てば、中ロ両国の観光客でにぎわうかもしれません」

今度この地を訪ねるときは、車で橋を渡ることになるのでしょうか。だとしたら、渡し船の国境越えは貴重な体験だったといえるかもしれません。

ブラゴヴェシチェンスクのモニュメント


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