MONOCHROME-モノクローム寫眞「サハリンの夏は稚内より暑い!?」
かつてサハリンに在住していた中川善博さんのモノクロフォト紀行。今回は、サハリンの夏の始まりについて話してくれます。
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北国では、“夏”らしい雰囲気が拡がる時季が少し遅めであるように思う。他方、それは非常に眩しい。冷涼な地域であっても、それなりに「暑い…」という程度に感じる、25℃以上となるのは、6月下旬から7月初め頃である。
日本国内では「4月の年度初め、翌年の3月の年度末」という形が一般的である。学校や職場の多くは4月に新しい年度ということになり、学校では入学や進級、職場では異動や機構の改編というようなことが行われる。官公庁の年度予算は「4月1日から翌年3月31日」で執行されている。これは多くの企業でも同様であろう。
サハリンへ行ってみると、少し様子が異なる。官公庁の年度予算は「1月1日から翌年12月31日」で執行されているのが普通であるようだ。学校では入学や進級は9月1日である。
職場での異動や機構の改編というようなことは、「日本の4月」のような何となく決まった時季ということでもなく、「必要に応じて随時」というような具合だ。
サハリンでは「“夏”へ向かって行く」という感じになるのは「6月」であると思う。加えて6月は「夏休みが始まる」という時季だ。
稚内は「海に突き出した陸地」とでもいうような地形で、周辺の海水の関係で気温が安定し、1日の中での気温差は比較的小さい。こういう場所からユジノサハリンスクへ行けば少し驚く。稚内に比べ内陸的で、盆地にあるので、朝晩と日中との気温差が大きい。6月頃でも早朝に7℃とか6℃という場合が在る。が、好天に恵まれると昼頃には20℃程度になる。
午後早くに街へ出れば、朝早くから動き回っていると見受けられる人達が上着を引っ掛けているのに対し、昼頃から外に出たというような人達が半袖Tシャツ姿というような場合も多々在る。
概してだが、稚内より北に在るユジノサハリンスクの夏季の気温は稚内より高い。例えば、稚内で23℃位の日に、ユジノサハリンスクで28℃位というような例が多く見受けられる。「稚内の方が涼しい? 30℃になるのは稀!?」とユジノサハリンスクの人達が驚くというのは事実である。
そして、サハリンの夏は「戸惑う」といえるほどに明るい。
稚内辺りで、6月頃、7月頃は「午前3時台から明るく、午後8時頃まで暗くはならない」という感じになる。サハリンでは時差が「日本時間プラス2時間」という時間帯になっているのだが、天の明るさは稚内辺りと然程変わらない。そうすると、6月のサハリンでは「午前5時頃から明るく、午後10時頃まで暗くはならない」という感じになる。
「起きて活動している間は暗くならない」という場合さえ在る。白夜の北極圏というほどに極端ではないが、「起きて活動している間は暗くならない」という場合が在るのはやや驚き、些か戸惑ったことを記憶している。午後10時近くともなれば、流石に暗いが……。
こういう時季は、戸外を歩くことが愉しい。色々な花も咲いている。
7月後半や8月という真夏のような暑さというほどでもなく、肌寒いような感じも免れ、明るい時間が長く、「何となく心地好い」という様子が見受けられるのは6月頃だと思っている。
そういうことで、6月に撮った画を少し集めてみた。季節の感じを思い出すもの、余り関係無いもの、色々と取り混ぜて取上げてみた。
“リラ冷え”の中でライラック…(2018.06.15)
※リラ冷え…ライラック(フランス語でリラ)の咲く季節の寒の戻りのこと
<Я ♡ ПАРК!>(ヤー リュブリュー パルク)(2018.06.17)
「(ロシアの)視力検査表」が入った広告看板(2017.06.21)
(中川善博)
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