ロシア教会の鐘の音を聴いたことがありますか?
ハバロフスクがロシアの町であることを最も視覚的に印象づけるのは、市内に点在しているロシア正教会でしょう。
ロシア正教は、東ローマ(ビザンチン)帝国の国教だったキリスト教東方正教(ギリシャ正教)に属する独立教派のひとつ。特徴は、タマネギ型の半円ドームを頭にいただく建築様式にあります。
アムール川沿いの小高い丘に建つスパソ・プレオブラジェンスキー大聖堂(Спасо-Преображенский Кафедральный Собор)は、2005年に創建されたハバロフスクを代表するロシア正教の教会です。5つの金色のドームを持つこの教会は、高さ70mで極東ロシア最大の大きさを誇るそうです。
中に入ってみましょう。高いドームの天井にキリストの絵が描かれています。
正面には数多くのキリスト教の聖人のイコンが並んでいます。ミサのときは、正面真ん中下のキリストのイコンの奥から神父が現れ、信者の前で祈りを始めます。
広い聖堂内は、3000人の信者が収容できるそうです。1年を通じてキリスト降誕祭や復活祭が行われます。
聖人の描かれた絵は花で飾られます。信者によって祈りを捧げる聖人はそれぞれ違うようです。
聖堂内には、イコンや祈りの際に点すろうそく、聖書の物語を学ぶための読み物、ロシア正教のカレンダーなどを売る場所もあります。
もしハバロフスクで日曜の朝を迎えたら、近所の教会のミサに足を運んでみてはどうでしょう。堂内の中央に立って祈りを捧げる神父と揺れるロウソクの灯火、厳かな賛美歌と振りまかれるお香の匂い…。ロシア正教のミサはとても神秘的です。地元の信者たちが真摯に祈りを捧げる光景は、映画でも観ているような気分になるかもしれません。
その際、ロシア正教のミサの作法を知っておかなければなりません。まず服装ですが、男性は半ズボンのようなラフな恰好はNG、女性はスカーフで頭を隠し、露出の多い服装は避けるべきです。スカーフは教会で借りることができます。
それから、堂内に入るとき、十字を切っておじぎをすること。あとは静かにミサを見守りましょう。
ロシア正教の聖堂内には、信者が座る椅子は基本的になく、ミサの間はずっと立っていなければなりません。賛美歌もオルガンなどの楽器は使わず、肉声のみで歌われます。それが神聖な雰囲気をさらに盛り上げているのです。
そして、大聖堂の鐘楼に登ると、アムール川とハバロフスクの街全体のパノラマを一望にできます(これには事前の許可が必要です)。
鐘楼には大小たくさんの鐘があります。そう、カソリックやプロテスタントとは違い、ロシア正教の鐘の音は、音階の異なるいくつもの鐘を鳴らします。
みなさんは、ロシア教会の鐘の音を聴いたことがありますか?
1日朝昼夕と数回、教会の神父のひとりが鳴らすのですが、想像以上に長い時間、聞こえます。特に、スパソ・プレオブラジェンスキー大聖堂の鐘の音は市街地もそうですが、アムール川のかなたまで届きます。
そばで聞くとその大音量に驚くかもしれません。
(撮影/佐藤憲一)
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