サハリンにはウォトカに合うシーフードつまみがいっぱい

サハリンにはウォトカに合うシーフードつまみがいっぱい
グルメ

ロシアの代表的なアルコールといえば、ウォトカでしょう。ロシアや北欧など寒冷な地域で親しまれる蒸留酒で、原材料はライ麦や大麦、ジャガイモなどの穀類です。

ほぼ無味無臭で無色の酒とされますが、度数が40度以上と強いため、日本ではカクテルなどのスピリッツとして飲まれることが多いですよね。ところが、ロシアに行くと、なぜかおいしくストレートで飲めてしまうのです。今回はサハリンのウォトカと絶品つまみについて紹介しましょう。

ロシア人と一緒にウォトカを飲むとき、彼らは瓶ごと冷凍庫で2~3日ギンギンに冷やしてからショットグラスに注ぎます。アルコール度数が高いため、水のように凍ることもシャーベット状になることもありません。

好みでレモンやライムの薄切り、ときには荒塩を舐めつつ一気に口に含むと、トロリとした口どけがさわやかで新鮮です。昔はボトルを雪の中に埋めて冷やしたのだそうです。

とはいえ、彼らにならって調子よくショットグラスを何倍もくいっと飲み干していては、こちらの身体がもちません。欠かせないのが、「ザクースカ」と呼ばれるロシアの酒のつまみでしょう。

ザクースカは本来、前菜の意味ですが、酒のつまみや軽食など全般をさしていて、これがウオッカによく合うんです。海外に行くと、その土地の酒がおいしく飲めるのは、つまみのおかげだと思います。

サハリンのレストランでは、酒飲みを喜ばせるザクースカのメニューが多いです。

たとえば、肉厚にカットした新鮮なスモークサーモン。一見刺身風ですが、ほどよい塩味が酒に合います。

肉厚にカットした新鮮なスモークサーモン

白身魚のソテーもレストランの定番メニューです。ホクホクの白身がこれまた酒に合います。

白身魚のソテーもレストランの定番メニュー。ホクホクの白身が酒に合います

ほかにもよくあるのが、ニシンの酢漬けの「セリョートカ」。タマネギの輪切りや茹でたジャガイモを添えて出すことが多いようです。ウォトカにニシンとジャガイモという組み合わせは伝統的な酒飲みの定番セットだそう。

ロシア料理の味つけは基本マイルドで、特に冷菜は素材の味をそのまま引き出す淡白なものが多いので、これがすっきりした飲み口のウォトカに合うのでしょう。これは日本人好みといえます。

日本酒のあてなら塩辛ですが、ウォトカのあてとなれば、イクラでしょうか。サハリンでは市場に行くと、新鮮なイクラがパックで安価に売られています。

ウォッカのあてとなれば、イクラでしょうか

ロシアでは、小さく切ったパンの上にキャビアやイクラをのせてよく食べます。レストランでは、砕いた氷の上にキャビアやイクラの入った容器を入れたまま冷やして出すこともあります。こんなシーフードつまみがたくさんあれば、日本では飲みなれないウォトカも十分楽しめると思います。

市内のリカーショップや食材店(ロシアではマガジンと呼ぶ)に行くと、数多くの銘柄のウォトカのボトルが並んでいます。なんでもロシアには5000種もの銘柄があるというほどです。

市内のリカーショップや食材店に行くと、数多くの銘柄のウォトカのボトルが並んでいます
市内のリカーショップや食材店に行くと、数多くの銘柄のウォトカのボトルが並んでいます

なかでも広く知られる銘柄のひとつが、サンクトペテルブルク産の「ルースキー・スタンダルト」でしょう。

なかでも広く知られる銘柄のひとつが、サンクトペテルブルク産の「ルースキー・スタンダルト」

また極東ロシア・シベリアの地元銘柄といえば、シベリアのハスキー犬の名を冠した「ハスキー」や白樺という名の「ベリョーザ」でしょうか。

これは「ハスキー」。ボトルに烙印された犬の足跡が目印です。

これは「ハスキー」ボトルに烙印された犬の足跡が目印です

これは「ベリョーザ」で、白樺の意味ですが、18世紀後半、白樺の活性炭でウォトカを濾過する製法が開発され、ロシアのウォトカが誕生したそうです。

「ベリョーザ」で白樺の意味ですが、18世紀後半、白樺の活性炭でウォトカを濾過する製法が開発され、ロシアのウォトカが誕生したそうです

おみやげには、マトリョーシカ柄のボトルというのもあります。

おみやげには、マトリョーシカ柄のボトルというのもあります

これらのウォトカは1本1000円程度で買えるので、ホテルに戻ってからの旅の同伴者と部屋飲みしてもいいでしょう。これが楽しいんです。

その場合、つまみはどうするか。マガジンやスーパーでロシアらしいカニ味のポテトチップスや缶詰を買ってくるという手もあります。

スーパーでロシアらしいカニ味のポテトチップスや缶詰を買ってくるという手もあります

でも、せっかくなら昼間のうちに見物がてら、市場に買いに行きませんか。

せっかくなら昼間のうちに見物がてら、市場に買いに行きませんか

ユジノサハリンスク市内にはふたつの市場があります。ひとつはユジノサハリンスク駅からレーニン通りを南へ徒歩12分ほど歩いた先にあるテフニカ市場(Техником Рынок)です。

ユジノサハリンスク駅からレーニン通りを南へ徒歩12分ほど歩いた先にあるテフニカ市場です

屋内市場で内部は広く、ジャンルごとに店が並んでいます。

屋内市場で内部は広く、ジャンルごとに店が並んでいます

肉や魚、果物、お菓子など何でも揃いますが、お目当てはシーフードコーナーです。この真っ赤な切り身はサーモンの燻製ですね。

お目当てはシーフードコーナーです。この真っ赤な切り身はサーモンの燻製ですね

サハリンといえば忘れてはならないのが、ボイルされたカニでしょう。ボイルされた毛ガニなら350ルーブルくらいからあります。

ボイルされた毛ガニなら350ルーブルくらいからあります

水槽に大きなタラバガニがいました。

水槽に大きなタラバガニがいました

ほかにも、日本ではあまり見かけない種類の野菜や香辛料、ハチミツやハーブ、中央アジアから届いたドライフルーツやナッツ類などが並んでおり、ただ歩いて見るだけでも面白いですよ。それからサハリンはコリア系住民も多いので、パンジャンと呼ばれる韓国惣菜も売られています。

サハリンはコリア系住民も多いので、パンジャンと呼ばれる韓国惣菜も売られています

これだけ揃えば、ホテル飲みのつまみは万全でしょう。

もう一つの市場は、ウスペフ魚市場(Успех Рынок)といって、同じレーニン通りをテフニカ市場と反対の方向に7~8分歩いて、左手の路地を入った先にあります。ここでもカニは買えます。

ロシアでは市場で扱うほとんどのものに値札が付いており、明朗会計なので買い物も安心です。ただし、サーモンの燻製ひとつとっても種類が多く、品質によって値段がかなり違います。頼むと試食をさせてくれるので、それから選ぶといいでしょう。

最後にサハリンならではの酒のつまみとして欠かせないキュウリウオ(和名)についてお話ししましょう。

最後にサハリンならではの酒のつまみとして欠かせないキュウリウオ(和名)

このシシャモに似た細長い体型の魚(20cmくらいの体長で少し大きい)の一夜干しや素干しが市場でもよく売られています。北海道沿岸やオホーツク海の冷水域に分布し、キュウリに似た青臭さがあるため、この和名が付いています。

これが地元ロシア人の好物つまみのひとつ。ウォトカもそうですが、ビールにも合います。

サハリンではこんな魚を釣ることができます

(撮影/佐藤憲一)

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