アールヌーヴォーの町、ハバロフスクで建築を見て歩こう

2020.07.03

お立ち寄りスポット

19世紀半ばにアムール川のほとりに建設されたハバロフスクには、当時フランスで一斉風靡していたアールヌーヴォー様式の建築が数多く建てられています。

なかでもアムール川から垂直に延びるムラヴィヨフ・アムールスキー通りには、アールヌーヴォー建築がたくさん並んでいます。植物をモチーフにした優美で装飾的なファサードや、曲線を描く美しい形状のデザインに加え、何よりパステル調の淡い色彩がとてもかわいくて、眺めているだけでも楽しくなります。ハバロフスクの建築見て歩きは、この町の観光のハイライトのひとつといっていいでしょう。

以下、ムラヴィヨフ・アムールスキー通り沿いの建築を中心に、ハバロフスクのアールヌーヴォー建築を紹介します。

бывш. Городской Дом
旧市議会（シティハウス）　1909年竣工
ул.Муравьева-Амурского 17

ハバロフスクを代表するアールヌーヴォー建築は旧市議会（シティハウス）です。1907年に当時の著名な建築家のバルトシェヴィチが設計したもので、アールヌーヴォー的な要素もふんだんに採り入れられていますが、むしろ当時ロシアで流行していたスラブ文化を近代建築に折衷するネオロシア様式の建築とされています。現在、1階にロシアみやげを売るターイヌィ・リミスラーがあります。

Театр юного зрителя
ハバロフスク地方青年劇場　1901年竣工
ул.Муравьева-Амурского 12

次は、ハバロフスク地方青年劇場です。ハバロフスク市議会として建てられた、れんが造りのアールヌーヴォー様式の建築。1920年代に市の劇場が設置され、1944年以降、青年劇場となっています。

Дом Хлебникова
薬局（旧フレブニコフ集合住宅）　1913年竣工
ул.Муравьева-Амурского 8

現在、薬局の旧フレブニコフ集合住宅もかわいい建物です。19世紀後半、酒造業を始めたフレブニコフ家が建てた集合住宅でした。当初は1階建てのれんが造りでしたが、徐々に改築され、アールヌーヴォー風の美しい装いに変わりました。

Доходный дом Зандау
ソフキノ映画館　1906年竣工
ул.Муравьева-Амурского 34

ハバロフスクで最も古い映画館として1906年に建てられたのがソフキノ映画館です。正面は円筒型に突き出た塔のような構造で、1階が入口になっています。

бывш. Русско-Азиатский банк
旧ロシア・アジア銀行　1908年竣工
Муравьева-Амурского 24

1908年にロシア人がアパートとして建てたアールヌーヴォー建築は、2年後、ロシア・アジア銀行として使われました。現在はカフェが入店しています。

Доходный дом Такеучи
旧竹内洋行、ホテル「ルーシー」　1912年竣工
ул.Муравьева-Амурского 5

この建築はハバロフスクの重要な文化財のひとつとなっています。1896年にハバロフスクで事業を始めた竹内一次が建てた古典主義とモダニズムを折衷したユニークな建築です。現在はステーキレストラン「ミートミート」やハンバーガーショップの「フレーバミョーサ」が入店しています。

これらのアールヌーヴォー建築を紹介しているのは以下のサイトです。
The Art Nouveau World

このサイトには、ほかにも以下の建築が紹介されています。サイト内に地図があるので、散策の前にチェックしておくといいでしょう。「○○の家」とあるのは、当時の建築の所有者の名前で、大半は実業家です。そのひとりに日本人がいたことは、ハバロフスクと日本のゆかりを物語っているといえます。竹内家の歴史についてはまた別の機会で紹介しましょう。

Дом Даттана
ドゥタンの家　1900年竣工
ул.Истомина 54
бывш. женская гимназия
旧女子学校体育館
ул.Запарина 71
бывш. Отель Эспланад
旧ホテルエスプラネード　1913年竣工
ул.Муравьева-Амурского 18
бывш. доходный дом Волковинского
旧ヴォルコヴィンスキーのアパート　1913年竣工
ул.Муравьева-Амурского 36
Дом Малченко
マルチェンコの家
ул.Шеронова 113
Дом Порошина
ポロシナの家
ул.Дзержинского 22
Дом Волковинского
ヴォルコヴィンスキーの家
ул.Запарина 63