ブラゴヴェシチェンスクという町をご存知ですか?
ブラゴヴェシチェンスク(Благовещенск)は、ハバロフスクから西へ約600km、中ロ国境を大きく蛇行して流れる大河アムールと、シベリア北部からアムールに流れ込むゼヤ川の合流地点に位置する町です。ここはアムール州の州都で、人口は約22万人です。
ハバロフスクからは国内線が飛んでいますが、アムールスキーエクスプレスという夜行列車が毎日1本運行しています。所要約14時間です。
ブラゴヴェシチェンスク駅は、シベリア横断鉄道のべロゴルスク駅(Белогорск)から分岐して、南に向かう支線の終点となります。
ウラジオストクからハバロフスクまでも鉄道に乗って一晩で着きますが、この町へ行くのも同じで、食堂車もある寝台夜行列車の旅が楽しめます。
ブラゴヴェシチェンスクは中国との国境の町です。川幅はわずか500mほどで、川沿いの公園の遊歩道からは中国の町並みがよく見えます。対岸の明かりは黒龍江省黒河という町です。
両国市民はビザの免除協定を結んでいるので、相互に自由に往来できます。そのため、ブラゴヴェシチェンスクには中国人観光客、黒河にはロシア人観光客の姿が見られます。
夏になると、この遊歩道は昼も夜も散策する市民であふれています。レストランやカフェ、アイスクリームやドリンクのスタンドが並んでいます。ベンチに座って川を眺めながら、濃厚なロシアのアイスクリームを食べるのが楽しみです。
この町は、通りが碁盤の目のように整然としていて、駅からアムール川沿いのレーニン広場まで、一本道が延びています。広場にはアムール川に面して建つ凱旋門があります。
この門は、1891年にアジア外遊の旅に出たニコライ皇太子(のちのニコライ2世)が日本を訪問したあと、ウラジオストクでシベリア横断鉄道の着工式を行い、さらにブラゴヴェシチェンスクに立ち寄り、同様の記念式を行ったときに建造されたものです。ウラジオストクと同様、ロシア革命時に破壊されたのですが、2005年に再建されています。対岸の中国からもよく見えます。
町にはロシア正教会がいくつもあります。
比較的新しい教会がほとんどですが、聖人たちの画像が並び、無数のイコンが置かれた静謐な聖堂内には、頭にスカーフをした地元の女性信者の姿が見られます。
教会の外で何組かの新婚カップルの姿も見かけました。花束を手にした友人たちに囲まれて、記念撮影に興じるカップルは美男美女でした。
中央市場を訪ねると、オホーツク海でとれた海鮮や肉、野菜、チーズ、各種惣菜、お酒などが売られています。
これはロシア産のコニャックです。1本5~600円と安いです。他にもウォッカやビール、ワインなども豊富に揃っています。
イクラやサーモンを売っているこの3人の女性スタッフたちは、カメラを向けると、陽気にポーズをとってくれました。「日本から来た」というと、とても珍しがられました。
こういう女性たちを見ていると、世に流布している「ロシア人は笑わない」という噂はちょっと違うんじゃないかと思えてきます。実際、カメラにポーズをとってくれるのは若者も同じですから。
ひとことでいえば「ロシアの田舎町」といっていいのでしょうが、町は整然としています。旅の荷を解いて、のんびり過ごしたくなりました。
次回は、ブラゴヴェシチェンスクで訪れたコサック料理のレストランを紹介します。
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