ハバロフスク郊外にコサックの歴史をしのばせる美しい教会があります
数百年の年月をかけてウラル山脈のかなたからシベリア、そして現在の極東ロシアの地まで最初にやって来たのは、コサックと呼ばれる人たちでした。
その過程で彼らが直面した艱難辛苦を乗り越えるうえで精神的な支柱となったのがロシア正教会の信仰でした。今日、ハバロフスクなどの極東ロシアの主な都市には壮麗な教会がいくつも建てられていますが、コサックたちがこの地にやって来たばかりの頃は、そのような立派な施設を建てることはできませんでした。
では、どのように彼らは自分たちの信仰を守ってきたのでしょうか。
ハバロフスクの郊外に、コサックたちがこの地を開拓した当時の歴史をしのばせる場所があります。
それは「キエフ・ペチェールシク神父の神殿」と呼ばれる地下教会です。
地下教会というと、ソ連時代のキリスト教が禁じられた頃の隠された宗教施設のようにも聞こえますが、そうではありません。文字通り、地下教会であり、聖堂自体がこのようにゆるやかな丘陵の一部をくり抜いて造られているからです。実をいうと、ここはもともと高台に位置する軍事施設でした。
この地に居住区を開いた人々は、コサックの伝統にならい教会を建てようとしましたが、多額の資金がかかるため、使用されることのなくなった元軍事施設を教会として建て直すことを考えたのです。2018年のことでした。現在、ここには数名の修道士が住んでいます。前回紹介したコサック村(クラスノレチェンスコエ村ベロヴォディエ地区)の中にあります。
■地下教会の歴史を紹介する動画はこちら→
Вести-Хабаровск. Пещерный храм при Свято-Успенском православном мужском монастыре
中に入ってみましょう。教会の扉を開けると、礼拝室の厚い扉があります。
堂内はまるでトンネルのようで、左右に聖人たちの絵が並び、厳かで神秘的な雰囲気が漂っています。
その先には、信者たちが祈りを捧げる聖壇があります。前面には十字架にかけられたキリストの像や12使徒たちを描いた「最後の晩餐」らしき絵画、数多くの聖人のイコンが置かれていました。
ミサのとき、この扉が開いて司祭が現れます。
聖壇の上部には十字架が置かれ、天井はガラスが貼られているので、光が入ってきます。
この教会では、昔ながらのミサが行われていて、居住区の人たちが日曜日には訪れます。
■地下教会の様子を伝える訪問記事→
В Крестопоклонную неделю – Архиерейское подворье храма с в ятых преподобных отцов Киево-Печерских
この地下教会は観光客にも公開されており、地元の旅行会社で事前に予約をすれば、訪問できます。その場合、前回紹介したコサック村の博物館 Музеи Беловодья やコテージなども一緒に訪ねることになるでしょう。
地下教会を訪ねると、堂内で昔の伝統にならい、ロシア正教の古い聖歌を聞くことができます。
歌われる聖歌はこのようなものです。現代の教会ではもう歌われることの少ない聖歌だそうです。市内にある新しくてきれいな教会とは違い、まるで100年前にタイムスリップしたような気分になり、ちょっとゾクゾクしてきますね。
地下教会はこのようにガラスの屋根だけが頭を出しています。
最近、入口と両サイドの壁面が新しく修復されました。
地下教会のある丘からは、この居住区のもうひとつのロシア正教の宗教施設である修道院が見えます。こちらも現在、建設途上にあり、ドネーションを募っているそうです。
場所は、ハバロフスク南東のアムール川沿いにあるザイムカと呼ばれる保養地から車で10分ほどです。
前回のコサック村ツアーと同様、地元旅行会社のダリゲオツアーやポータルセゾノフが日本からのツーリストを案内してくれます。詳しくは同社にお問い合わせください。
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